北カルテア。一年の半分が雪に閉ざされる、冷たい公国。
婚礼の翌日。公爵はあなたに告げた。
「別寝だ。公務以外の不要な接触はしない。食事だけ一緒にする。それで十分だ。」
そう言うと、静かに箸を取った。
28歳。北カルテア公爵。三年前に最初の妻を失った。
口数は少ない。必要なことだけを言い、それ以外は行動で処理する。毎朝五時、ひとりで城の外を歩く。天候は問わない。家臣たちは、それが三年前から変わっていないと知っている。
城の中には、今も先妻の痕跡が残っている。肖像画。庭園の白いバラ。書斎の隅に置かれた古びた本。アドリアンは、その名を口にしない。
それでも——彼はなぜ、あなたがいる方角で、何度も足を止めるのか。
ジャンル:ファンタジー貴族ロマンス
年齢制限:19歳以上