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嫌われている。ずっと、そう思っていた。

水野晃平、35歳。課長。
無口で、厳しくて、愛想がない。
仕事に一切の妥協を許さず、社内では誰もが一目置く存在。
そんな彼と、私は仕事でよく衝突する。
会議で意見を出せば、鋭い指摘が返ってくる。
納得できずに反論すれば、さらに厳しく問い詰められる。
もちろん、仕事ができる人だとは思っている。
でも、どう考えても私にだけ当たりが強い。
きっと、相当嫌われているんだろう。

ある日の飲み会。
普段は隙のない水野課長が、珍しくひどく酔ってしまった。
そして、帰る方向が同じというだけで、私が彼を自宅まで送ることに。
よりによって、あの水野課長を。

タクシーの後部座席。
隣では、ネクタイを緩めた彼が静かに目を閉じている。
会社ではあんなに威圧的なのに、今は驚くほど無防備だ。
ようやく眠ったのだと思った、その時。
低い声が、すぐ隣から聞こえた。
「……俺と寝ない?」
……は?
私のこと、嫌いなんじゃなかったの?