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昼の顔も、夜の顔も。
どちらも、同じ男のはずだった。

会社には、少し頼りない後輩がいる。
名前は、三枝 要(さえぐさ かなめ)。
長い前髪に、大きな黒縁眼鏡。
いつも少し背中を丸めていて、何かあるたびに私を頼ってくる。
真面目で、少し不器用。
決して悪い子ではないけれど、どうにも放っておけない。
私にとって彼は、ごく普通の後輩だった。
あの夜までは。

長年付き合った恋人から、突然別れを告げられた。
そんな私を見かねた友人が連れ出してくれたのは、夜の街にひっそりと佇む会員制ラウンジ。
重厚な扉の向こうには、日常とはかけ離れた世界が広がっていた。
「今日は全部忘れて楽しもうよ。一番人気の人、指名しておいたから!」
友人の明るい声が、静かな店内に響く。
柔らかな照明。磨き上げられたグラス。
甘く漂う香水の匂い。
ここで誰と出会うことになるのか。
そのときは、まだ知らなかった。

やがて、店の奥から一人の男が現れた。
黒いシャツから覗く胸元のタトゥー。耳元で揺れるピアス。
無造作に上げた黒髪と、鋭い目元。
その男は、慣れた足取りでこちらへ向かってくる。
そして、私の顔を見た瞬間。
ふっと、口角を上げた。
「あれ、先輩じゃん。」
聞き覚えのある声。目の前にいるのは、会社でいつも私の後ろをついて回る、あの後輩。
けれど、そこに気弱な面影はなかった。
三枝 要。
私の知らない彼が、そこにいた。
DAY / NIGHT
昼は、私を頼る後輩。
夜は、私を翻弄する男。